GLOBAL

Digl.-ing. Christian Kirschniok, Germany 1. December 2018

AUMUND FÖRDERTECHNIK

AUMUND製品用のAUMUNDチェーン

AUMUND鍛造型チェーン

鍛造型チェーンは、バケットエレベーターのセントラルチェーン用として、40年以上前にAUMUNDにより開発されております。このチェーン技術はその後建設用機器などで使用されていたトラックベルトなどの影響を受けながら開発が続けられ、長期の休止期間の発生の可能性が少なく、より大きな動荷重及び搬送能力が達成できる事が証明されました。1980年代初頭には、走行表面部及びルーズなアンギュラー型バケット用ブラケット部にAUMUNDが特許を取得した、新しい鍛造型リンクが開発されました。これ以降チェーンは継続して開発され、3,000台以上のバケットエレベーターに使用されております。間断の無い丹念な開発研究は、顧客側からの搬送技術に対する必要条件に沿って続けられました。バケットエレベーターとは、トラクションエレメント、特定の搬送目的、及び二次的な構成部材が全て完全にマッチしたシステムであると定義できます。

品質 – 信頼性 – 耐久性

可能な限り少ない摩耗及び保守作業により、最も長い有効製品寿命を達成できる事が第一の目的となります。数十年以上製作されている、一般的に知られた搬送用チェーンは、アウターリンク、インナーリンク、ボルト及びブッシュから構成され、高速のバケットエレベーターでの必要条件に完全に合うように開発されております。細かな、時には非常に地味なステップが開発に採用されましたが、素材の選択、ジョイントラビリンス、走行表面部又はスリーポイントサポートなどの特徴が全て最適化されたソリューションとして調和し、設計内容に反映されております。各バケットエレベーターシステムの構成部は、“基本から、複雑化へ、そして単純化へ”といった一貫した開発過程を経ております。最終的に設計のノウハウのみならず、自社内の製造工程でのノウハウが加味されているものであり、単一ソースでの開発要素が全て反映されたものとなります。

セントラルチェーン及びアンギュラー型ブラケットを装備するAUMUNDバケットエレベータ―のヘッド部 ©AUMUND

チェーン用部材

ブッシュ及びボルトが、チェーン接続部の接触表面部を構成するものであり、高い表面接触圧力及び摩擦からの恒久的な摩耗が発生する事になります。引張歪みによる伝統的な曲がりや剪断のみならず、使用中のバルク物資粒の表面部への侵入に起因する異物からの摩耗の発生を考慮する必要があります。これらの複雑な挑戦には、搬送する物資、搬送能力、中心間距離及び運転条件という観点からの固有のバケットエレベーター条件も合わせて検討すべきとなり、広範な摩耗テスト又は疲労強度実験によりこれらのハードルを克服し、結果的に究極的に最適化された技術ソリューションを生み出す事になります。

鍛造型AUMUNDバケットエレベータ―チェーン ©AUMUND

搬送速度

チェーンの搬送速度、多角形状効果及び全体的な運動的要素による影響が考慮されます。この点における秘密の方法には、従来的な表面硬度及び深さのみならず、コア強度及び延性の組み合わせなどの検討も含まれます。双方の部材、すなわちブッシュ及びボルトの素材が適合している事もまた非常に重要となります。

インナー及びアウターリンクは引張荷重を受けますが、同時にボルト及びブッシュの曲がりによる変形からの負荷を受ける事になります。更にショルダーサポート部、アウターリンクのボルトを接続する開口部が荷重ポイントとなります。また、チェーンがドライブ及びテンションリングを回転走行する際の横歪みも検討する必要があります。

バケットはチェーンボルトの延長部に装備する鍛造型アンギュラーブラケットによりチェーンに固定され、この部分は強い動的負荷にさらされる事になります。しかしながら特許を取得したバケット設計方法により、振動がバケットに伝達される事が無く、関連する損傷を防止します。 工場でのチェーンの組み付けは、特殊ツール及び機器による高い精度のプロセスにより行われており、連続生産時に必要なねじれ、真直度、接合性といった点での極めて厳格な許容誤差に基づかれ、常に最も高い基準に適合しております。

ドライブ及びテンションリングは統合化されたチェーンシステムの一部です。これらにはチェーンとの接触ポイントに高い動荷重を受け、また機械的摩耗が発生します。分割型設計、最高水準の製作方法及び最良の鋼素材の選択又は熱処理方法といった要素は、AUMUNDが目的とする長い製品寿命と信頼性を具体化するものと言えるでしょう。

チェーンの設計及び計算

鍛造型エレベーター用チェーンの安定した開発は、設計改良、最良の原料及び素材のマッチング、改良した製作技術、特殊な熱処理方法、連続生産時の究極の精度、といったあらゆる関連分野での潜在性を研究し尽くす事によってのみ達成できます。

チェーンの設計は当初、従来的な分析計算方法に基づかれておりました。チェーンとは‘ヒンジジョイント部を囲んで作られるもの’という発想です。ボルト及びブッシュ間の表面圧力がチェーンの摩耗による伸長度を決定するため、適切な素材のマッチング、また例えば硬化処理の度合いや深さといった特性の最適な割り当てといった要素がこの部分の設計を大きく定義します。ここから、リンク断面のベアリング構造が設計者により方向づけられます。また以降の設計作業では、生産及び組み付けでの容易性といった観点も考慮されます。設計に対する基本的な確認は、FKMガイドラインとして知られている機械部材用の強度評価分析により行われます。

設計の検討はFEM(有限要素法)などの最新の手法によるサポート及び確証を受け、多体シミュレーションや組み合いシミュレーションなどがあり、多体シミュレーションからの計算強度を直接FEM計算に送り込む事などができます。

鍛造型AUMUNDバケットエレベータ―チェーンのFEM解析 ©AUMUND

新規に開発されたAUMUNDチェーンは全て、商業的な使用を開始する前に、広範囲にわたるテストを受ける事になります。まず素材技術の観点からのチェーン構成部(ブッシュ、ボルト及びリンク)のテストから始められます。これに続き統計的数値監視が伴った、組み上げたチェーン全体の張力テストが行われます。最後に有効製品耐用時間を決定するための疲労強度テストが必要となります。

チェーンの動的解析ステーション ©AUMUND

結果として得られるStress-Number(S-N)カーブ、又はヴェーラー曲線は、部材の疲労限界を表します。疲労計算用の関連する荷重分布は実機での測定により行われ、検証計算に入力されます。摩耗に対する抵抗期間に関しても特殊なテストにより決定され、ここではジョイント部の汚れ又は異物による摩耗の条件(鋼と鋼の間に搬送物、ダスト、その他異物がある場合など)がシミュレーションされます。

 

セメント工場での実地試験。チェーンとバケットは計測器へつながれている。 ©AUMUND

バケットエレベーター、セントラルチェーンシステム

シミュレーション、試験及び実機試験

鍛造型セントラルチェーンを装備する高速バケットエレベーターは、完成した状態が単一のユニットとしてみなされます。物資投入の結果による荷重、スクーピング、吐出プロセス、リング上のチェーン、多角形効果及びその他の運動学的要素が検討される必要があります。AUMUNDはバルク固体の動きを予測するためにDEM(個別要素法)を体系的に使用する先駆者の1社です。12年間以上AUMUNDは一貫して本方法を使用し、パラメーターの変更及びバケットエレベーターシステムカードのホワイトスポットを閉止する事などにより、定期的に改良を行なっております。現在ではベーシックDEMシミュレーションが以降の数理的な検討過程と組み合わされる事により、強度及び構成部での最終的な荷重を定義しております。

これに加えチェーン走行時のMBS(多体シミュレーション)がチェーンの動作及び発生する荷重を定義するために使用されております。MBSは数理的な振動モデルを基にしており、複雑なコンピュータープログラムによる多くの反復過程により作成されます。MBSは機械的なエンジニアリングに長い間使用されており、ドライブ用チェーンを広範囲に検討する方法の一つです。但し、ドライブ用チェーンはバケットの搬送が伴わず、又は物資投入及び吐出による荷重の変化が無いため、バケットエレベーター用のチェーンとは同じではありません。また構成部及び中心間距離といった点での寸法はより小さいものとなります。従いバケットエレベーター用チェーンシステムでは、アルゴリズム及び必要な計算容量といった点で既存のコンピュータープログラムでの新しい挑戦となりました。またこの分野は、その実施、結果解析及びプロセスパラメーターの改良においてAUMUNDは先駆者の1社であり、これらは現場での実際の数値の計測により検証される事となります。

特別な条件

既に述べた“通常の”チェーン荷重は、ある用途では、より厳しい運転条件に耐え得る事が必要となります。この場合の例として850℃又はこれ以上の高温のバルク物資、又は-40℃更には-50℃以下の超低温の外気温条件などがあげられます。粘性、閉塞、摩耗又は高い水分量などの傾向がある特定のバルク物資の効果に関しては、チェーンの選択に念入りな検討が必要となります。チェーンがある用途に割り当てられる前に、運転条件の綿密なレビュー、適切な算定によるチェーンの選択が行われます。AUMUNDのセントラルチェーン型バケットエレベーターは、動的、熱学的、更に摩擦学的、又はこれらの組み合わせから生じる厳しい使用条件に適した製品と言えるでしょう。

AUMUNDネットワークのスペシャリスト

特定の用途に対するノウハウ、様々な計算、シミュレーション又はテストにより明らかとなった内容は、AUMUND社に帰属する資産となります。世界最先端の大学組織及び著名な専門機関が、AUMUNDと共に、特定の内容に関する独立した研究を行う事もあります。

結論

AUMUNDには搬送技術分野に関し長年に及ぶ経験があります。Henrich Aumund教授がベルリン及びグダニスクの技術大学で開始した研究内容は、継続して開発が続けられております。搬送技術の中心となるチェーン及びこれに関連したノウハウは、アプリケーションエンジニアリング、オンサイトでの経験、及び鍛造型バケットエレベーター用チェーンシステムの継続した開発により異なる次元へと進化しました。鍛造型バケットエレベーター用チェーンの開発は次のステージに到達し、疲労強度、摩耗が無い長期の製品寿命、究極の耐性又は信頼性といった点がここでの特色となります。鍛造型チェーンを装備するAUMUNDの高速バケットエレベーターシステムは、単一ソースにより提供されております。AUMUNDは機械エンジニアリング会社であり、同時にチェーン製作会社であると言えるでしょう。

Copy right (C) JAPAN MARITIME INDUSTRIES CO., LTD. ALL rights reserved